この連載とちょうど同時に、フィールヤングという漫画誌で、「あなたも奔放な女と呼ばれよう」という漫画を連載しています。よく似たタイトルではあるのだが、「結婚制度とか、女性はこうあるべきとかそういうものはみんなで無視するのはいかがでしょう」
ってのがテーマで、もしかしたらこの恋愛論連載と並行するのはまずかったかも……。
「みんなで放火しましょう」ってのと、「みんなで消火しましょう」ってのを同時にお勧めするようなものだったかも。
こっきりさんの謎
セックス1回したんだけどそれきりってことを「1回こっきり」と言うので、その昔、「それきりになった人」のことをこっきりさんと名づけました。
この年になってやっと思うのだが、この「こっきりさん」、一般的には勃つの勃たないの、良いの悪いのでそうなるようなことを言われていますが、よく考えたらもともとああいう生々しい行為が最初っからうまくいくはずはないのです。なのにいい大人になって期待が大きすぎるのは良くない事ですし、実際そんな人がそれほどいるとも思えない。本当はそういう器質的なことや技術よりもその前後の発言や態度で決まってくるものなのではないのでしょうか。
と言うわけで今月はこっきりさん発言特集。もちろん私の体験だけで構成しているのではありません。聞いた話込み。とか断っといても全部私の話だと思って読む人いるんだろうな、まあいいけど。
「君の田舎でなんて言うの?」
結構ハンサムな、花形職業の男なのに、
「ねえ君の田舎でおまんこってなんて言うの?」
と最初の行為の最中に聞いた人がいます。相手が仕方なく、
「○○」
と答えたところ、行為を続けながら、
「○○しよう……、○○しよう……」
と囁いたといいます。
どうなの!? なんか昔の水前寺清子の歌みたいじゃないこのセックス!?
「○○しよう」じゃなくて、
「○○してるんだね、僕たち○○してるよね、ほら」
が正解だろう!?
さらに、行為名称は一般的に女性器名称でもあるから、
「君の○○、こんなになってるよ。気持ちいいの?」
などのアレンジも出来るはずなのに、なし! そこまで思い及ばないのに方言名称なんか行為中に聞くんじゃねえ!
さらにこの男、終わってから、
「どうだった? 前俺、ある女に『長さはいいけど太さ足りなくない?』って言われちゃったんだけどさ」
などとリサーチ。いや、そういう問題では……。その「長さうんぬん」の女もずいぶんだが、もしかしたら本当のこと言えなくて話をそらしたのでは……。
「俺とやったっていばってやりなよ」
この人は根が深い。まず、相手を「寿司を食おう」と誘っている。その前に、
「かあちゃんが乳がんなんだ」
などとしょんぼりしたりしている。元気ない様子を見せられて、相手の女性は食事くらい一緒にいいか、と思ったのである。
「いつも仕事前はこのホテルにこもってるから、部屋まで来てくれ」
と言われて迎えに(のつもりで)行くと、なんと寿司はルームサービスで部屋の中。白ワインも一緒だし素晴らしいお寿司なのだが、普通「寿司食おう」って言われたら店のカウンターだと思うじゃないですか。そのまま彼女は部屋の中にいなければならなくなり、行為は始まってしまったのだが……。
まず、
「今までしたセックスでやったこと全部やってやるからな」
と来たもんだ。なんだそりゃ! そんなこと望んでないのに、と彼女が困っていると、フェラチオさせられ、
「飲んで」
と飲まされてしまう。おーい!! なんか違くないか!?
で、いろいろ試されてくたくたになった彼女。相手は3回も射精したらしい。あんまりちゃんと勃たなかったのに3回も。男体って不思議ね。ちゃんと勃たなくても射精するんだね。
「そろそろ帰ります」
「え。泊まらないの?」
寿司食いに行って泊まり。ありかそんなの。
「いえ、今日は……」
「あ、そう。じゃあ月イチくらいで逢ってね。でないと他の女作っちゃうよ、俺あきらめいいから」
いきなり愛人契約させようと!?
そのあと彼女の女ともだちの話になり、
「あ、知ってるよ俺。1回Hしたことあるから」
「えっ!?」
「1回だけで、それっきりだけどね。あの子に、俺としたっていばってやんなよ」
「そんな……」
「そう? じゃ内緒にしとく?」
もし話すにしても、こんな状況、なんでいばんなきゃなんないの!? 彼女のともだちだってこの男にうんざりしてそれっきりなの丸わかりじゃん。この自信はどこから、っていうよりも彼女のともだちとの関係を壊せってことですよねそれ!? 何故!?
さらに「かあちゃんが乳がん」のかあちゃんは、妻でなくて母だったことが判明。このときこの人たぶん、50近いんですよ。正確な所は知らないけど。母のガンで弱ってる自分を見せて女誘う40代。どうなんだろう!?
それに残念なんですけど、彼は世間的には(特に男の人たちには)論客としても、職業人としてもたいへん評価されてる人なんです。もちろん妻子もいるし会社とかも持ってる。現実ってすごい! そんな人でも濡れ場になるとこんなことするんですね。私がこの連載の原稿を書くたびに、伏せてある人物名を担当三浦さんには話してるんですけど、いつもびっくりする三浦さんの普段にも増して驚く電話の声がもう聞こえてくるようです。
でもさ、これ読んでてもきっと、
「そんなのいいじゃん、男なんだからさ」
って思う人だっているんだろうな。人が見てないところでは自分の女には何したっていい、って人はまだいっぱいいるよ。だからその「内緒の態度」が女にとっても「ぐっとくる」ってことが恋愛開始の合図ってことなんじゃないでしょうか。
勃たなかったケース
ここで男が勃起しなかったケースを2つ紹介。1人は30代始めあたり。長身で彫りの深い顔立ち、人を笑わせるのも上手、歌も上手くてもてるタイプ(なはず。これだけ揃えば)。だがたまたまなのかどうなのか、その時は勃たなかった。
のちにその彼女が出血性膀胱炎を起こすほどいろんなことを試したあげく、
「風呂場でバックでやったら入るかもしれない」
と言ったら、彼女から、
「1回目の最初っからバックなんてやだ」
と反対されて終わり。なのにそのあと、
「村西とおるが、日本人はもっと部屋を明るくして顔を見合わせながらセックスしないとだめだって言ってるんだよ。俺もそう思うんだなー」
最初っから顔見ないですむ後背位で、って言ったその口で!?
2件目。こんどは23歳、ちょっとやんちゃなスポーツマンタイプ。ぜんぜん勃たなくて指でどうにかしていたら彼女は生理が始まってしまい、まだ途中までしか脱いでなかった服に血のしぶきが。
ということは、血しぶきが飛ぶほど激しくしたってことですね……。生理なのに。なんか、痛そう。
そしてその後、
「商売女やったらビンビンに勃つんやけどな」
と言ったらしい。
リアクションに困りますね。
そういうわけでこの2件に関しては1回こっきり。しかしたとえ勃起しなくっても、男の対応が良かったのでそのままにならず、その後ちゃんと回数を重ねてるケースもあります。やっぱさー、勃たなかったことよりも、そのあとの発言とかの方が問題な気がするんだけどどうでしょうか?
聞くところによると、赤ん坊から老人まで、男はレム睡眠中に必ず勃起してるらしいんですよ。朝起きたときに勃起しているのは、何度目かのレム睡眠の直後に目が覚めるからなのだというのです。
はて? ノンレム睡眠は頭が眠って体は起きてるんでしょ? レム睡眠はその逆で、頭が起きて体は眠っているはずなのになぜ? と思ったら、
「普段はやたらと勃起しないようにストッパーがかかった状態になっているから、体が眠っているレム睡眠時はそれがはずれて勃起してしまう」
のだそうです!!
なんだそりゃ!?
ということは、初めてしようとする相手に勃起しない人は、「ストッパーをかけて」いるってこと!? それは、何か危険を感じているってことですか!? ショック! そしたら、
「商売女にはビンビン」って!?
なるほど……。ということは、「危険を感じて」いるのは性病などのってことではなく精神的な、プライドが傷つくとかそういうことなんでしょうね、たぶんね。
なぜ「1回やったら俺の女」なのか
これは、社会が言ってるセリフだよね。心理的なものだけを取り出せば、男も女も変らない。
バンドの追っかけってご存知でしょうか。あるバンドのライブ予定を調べて、日本中付いて回るだけでなく、入り待ち出待ちってのがあって、メンバーがライブハウスに入ったり出たりする時刻に待ち伏せしていて声を掛けたり手を振ったりするらしいんですが、相手も人間、追っかけてるメンバーとはだんだん顔見知りになり、地方ライブの時なんかについに、
「部屋来る?」
と言われたりすることもあるのだそうだ。
実は昔そういうのがアシスタントに混じっててですね。どっかで彼女、そのメンバーと関係したんだね。で、もう「彼氏!」と思ってしまっているわけです。で、他の人にも、
「最近あんまし逢えないのー」
とか言ってる。他の人間がなぜ、
「だってそれ彼氏じゃないでしょ」
と言わず、
「うんうん」
と聞いてるかというと、その頃はどういうわけかアシスタントは追っかけやってる人ばっかしだったのです……何人もいたので、交互に休んで追っかけしていたのです。今思えばへんな職場。
関係した彼女の追っかけてんのは私の知ってるバンドだったので、かげで私のこともダシに使いまくりでした。嘘ばっか言って。まあそれはもういいけど。いや、良くないか。他にも裏表の激しいこと色々されてるので(辞めたあともね)、どっかでばったり会ったらぶん殴ろうかなとうっすら思っていた、以前は。
それはともかく彼女は
「1回やったらあたしの男」
って思ってたわけです。彼女の場合は追っかけてるバンドはそこだけだったが、いくつものバンドの追っかけをしてる人もいて、それぞれのバンドに「1回やったメンバー」がいたりすると、それらのバンドが集まってフェスティバル形式でライブやってるときなんか、
「今日のライブバンド、みーんなあたしのもの」
なんて思いながら会場に向かう人もいるらしいですよ。
しかし一般的に男は、「男だけの特権」と思い込んでたものに女が手を伸ばしてくるのが嫌いですよね。まあそりゃそうか。女は浮気出来ないはずって思い込んでる人もいるもんね、そう思いたい理由があるんだろうけど。
浮気でもすれば?
以前、あまりにも話してた相手(男・既婚)が悶々としてるので、長い愚痴をさえぎるため無責任にも、
「浮気でもすれば?」
と言ってみたことがある。答えは、
「そんな金ないよ」
私はその昔別の男に、
「子どもつくる予定はないの?」
と聞いたことを思い出した。その時の答えは、
「うちはお金がないから子どもはつくれないんです」。
似ている。お金が用意出来てからするものなの? と思ってしまうからだ。子どものことは一般的にはあまりに無計画でも良くないと言われていますが、実際そうそう頭で考えたようにはいかないものです。ほとんどの人は子が出来てからなんとかしてるんじゃないのかなあ。
お金がないから出来ないなんて味気ない答え方されると、
「そんなだからもてないんだよ」
とか、
「もてないことへの言い訳なんじゃないの?」
とか普通思っちゃうよね。
しかし、実際恋愛にもお金は必要。どんなに愛情があっても、お金の全くかからない恋愛ってのもたぶん、ほとんどありえません。それも子ども育てるのと同じ。だから、子どもたちのためにせっせと仕事する。
だいぶ前だけどドラマの現場で、女優さん2人と私で、
「自分より収入の多い人とつきあったことないよー」
「あ、あたしもこの仕事についてからはたぶんそうだ」
と話し合ってたことがある。私の場合は後者ですが、あとの女優さんおふたりは、10代の頃から仕事しているため、本当に全くないのだそうです。でもこれ、私はいい話だと思ってるんですけど。他に比較対象が少なくて悩みも多いだろうけど、試行錯誤し続けの彼女たちの人生にぜひ花を贈りたい。アレンジメントではなくスタンドでね。
(了)
次回更新日 未定
